中国版テスラと名高い中国の電気自動車(EV)メーカーNIO(ニーオ)の企業概要をまとめます。以前NIOは日本の個人投資家にとても人気な銘柄でした。株価は2021年1月に最高値62ドルをつけてから大きく暴落しております。2022年はインフレや金融引締の影響で、NIOだけではなくグロース株自体が厳しい上に、ADR株は米国市場から排除される懸念があったため悲惨な状況でした。米国市場から排除される懸念は払拭されたと思いますので、2023年からの挽回が期待されます!
NIOが作り上げようとしている世界は非常に魅力的なもので、「ただの電気自動車(EV)メーカーではない」そんな企業の魅力、将来性を少しでもお伝えできればなと思います。
もちろんNIOのホルダーです💪🙄(損益率-85% 2024年1月)
他にも保有銘柄のうち以下をまとめております。
ニーオ NIO 株価
NIOの株価の推移になります。最高値から90%以上も下落しております。金融緩和時のイケイケさは見る影もありません😭。5年後、10年後の株価がどうなっているか予想は難しいですが、以下に記載しているNIOのビジョンから非常に将来性のある魅力的な企業ではあると思いっています。
ちなみに私はNIOの株を5回に分けて買っていますが、平均取得株価は$52と絶賛爆損中です💣。
ニーオ NIO 決算内容
決算発表は別記事でまとめていますので、以下をご参照ください。
NIO 企業の基本情報
NIOは中国版TESLAといわれる中国の電気自動車(EV)メーカーです。中国語で蔚来は「青空がやってきた」という意味で、NIOが送り出すクリーンな電気自動車で深刻な大気汚染の問題を解消することをミッションとしています。
一般大衆向けというよりはハイブランド(高級車)路線です。中国ではもちろんのこと、2021年にはノルウェー(欧州)で販売開始しました。2022年にはさらにドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークへ進出。2025年までには25カ国へ展開するようです(下図)。日本にも進出予定ですね。日本でNIO車を見るのが楽しみです!
電気自動車以外にも、「NIO house」といったNIOの自動車の所有者同士のコミュニケーションの場があったり、NIOのアプリにはSNS機能やEコマース機能があったり、NIOの雑貨があったり、ただの電気自動車メーカーではなくNIO車の所有者の快適なライフスタイルを提供する企業です。
NIOの強みはいろいろありますが、なんといっても国策企業であることでしょうか。強みをまとめますと以下のようになります。
- ガソリン車の新車販売禁止といった国策という国の後ろ盾がある(国からの支援あり)
- 上記と関連し、中国の電気自動車(EV)普及率のスピードが速く、中国だけでも大きな市場
- 合肥市政府からの支援、市と協働し事業拡大(NIO本社の移転、新工場建設などへの投資)
- 自動運転技術への投資として、世界有数の自動運転AIの研究者が在籍
- バッテリー交換(Power Swap)は1,400以上の特許による独自性の高い技術
- ただのEVメーカーではなく、ライフスタイルに寄り添う高級ブランド
- バッテリーサブスクという車両本体とバッテリーを切り離した新しいサービス(BaaS)
個人的に不安な点を挙げるとしたら、NIOが会社から車両生産を切り離していることです。パートナー会社(江淮汽車、長安汽車)に車両生産を請け負ってもらっています。国有のメーカーなので安心ですが、開発・生産の一貫性という意味では少し不安な部分です。
NIOの強みはたくさんありますね。もちろん国や地方からの支援という強みもありますが、独自のブランド、サービスという点で他の電気自動車メーカーと差別化がうまくできていると思います。
NIOの特徴
NIOの車種はどれもカッコいい!
- ET9:高級セダン・・・2025年初頭発売予定
- ET5:小型セダン(自律走行システム搭載)・・・2022年9月発売
- ES7:中・大型SUV(自律走行システム搭載)・・・2022年6月発売
- ET7:高性能セダン(自律走行システム搭載)・・・2022年1月発売
- EC6:SUV・・・2020年7月発売、新型2023年9月発売
- EC7:中型クーペSUV(自律走行システム搭載)・・・2023年5月発売
- ES6:コンパクトSUV・・・2019年6月発売、新型を2023年5月発売
- ES8:SUV・・・2017年12月発売、新型を2023年6月発売
もちろん全て電気自動車(EV)です。セダンもSUVもかっこいいですね!
ET5はサイズや価格からテスラのModel3の対抗馬とされています。ユーザーエクスペリエンスからどちらの人気が高くなるのか結果が楽しみです。ちなみにNIOのET5とテスラのModel3を比較すると以下になります。
NIO ET5 | テスラ Model3 | |
車種 | 小型セダン(全長4,700mm) | 小型セダン(全長4,694mm) |
モデル | 下記バッテリーサイズ | スタンダートレンジ/ロングレンジ |
走行距離 | 550km/705km/1000km | 423km/563km |
バッテリー | 75kW/100kW/150kW | 54kW/79.5kW |
価格 | 585万円/688万円/???※ | 500万円/620万円 |
自律走行 | 独自の自律走行技術 Autonomous Driving as a Service(ADaaS) | 先進運転支援システム FSD |
安全性評価 | 5つ星 | 5つ星 |
※上述したバッテリーサブスクという車両本体とバッテリーを切り離した新しいサービス(BaaS)により、本体価格をより安くし、そこにバッテリーサブスク代がかかるという組み合わせも可能です。
ET5には最新のディスプレイテクノロジーを採用し、自動車業界初となるAR(拡張現実)とVR(仮想現実)によるパノラマでの没入型のデジタルコックピットになるとのことです。NIOは、ARデバイス企業のNREAL社と提携し、201インチの有効画面サイズが投影できるNIO専用のARメガネを共同開発しました。
NIOは購入後のサポートが手厚く、以下の項目もユーザー特典になります。
- 10年間の無制限保証
- 永遠にPower Swap無料
- 永遠にコネクティビティ無料
- 永遠にPower Home無料
- 永遠にロードサイドレスキュー無料
この価格差ならNIOの方がほしいと思ってしまいますね。さらに手厚いサポート!早く日本にこないかな〜。
テスラとの差別化!バッテリー交換
電気自動車の圧倒的覇者テスラと1番の違いはバッテリーが充電式ではなくバッテリー交換式であることでしょう。充電式の電気自動車の弱点は「充電に時間がかかる」や「バッテリーの劣化」が挙げられます。交換式にすることで上記の弱点は克服ですね。もちろん、他の電気自動車(EV)と同様に充電することも可能です。
バッテリー交換は中国全土で3,200万回以上行われたとの発表がありました。
- Power Swap(画像中央):全自動バッテリー交換所(3分で交換)2,226箇所(※2023年12月時点)
- Power Charger(画像左):充電所(30分で20~80%充電)9,400箇所(※2023年12月時点)
- Power Mobile(画像右):NIOアプリで呼べる移動充電車
- Power Home:自宅用充電(5時間、14時間の2タイプあり)
バッテリー交換をイメージしたい方は下の動画をご覧ください。
バッテリー交換ができる電気自動車はAulton、Geelyがありますが、現状はNIOが先駆者ですね。NIOは2025年に世界で4,000のステーションをオープンする予定との発表がありました。
NIO 自動運転技術
NIOは自動運転にとても力を入れています。特に特許出願が多いことです。優秀な自動運転AIの研究者が集まるのもわかります。
Autonomous Driving as a Service(ADaaS)というサブスクでNIO独自の最新の自動運機能をET5で提供する予定です。まだ、完全自動運転ではなく、高速道路、市街地、駐車場、電池交換などの限られた状況で部分的に自動運転を可能にするものになります。
この自動運転技術は「AQUILA」と「ADAM」によるものです。「AQUILA」はNIO独自のスーパーセンシングシステムであり、「ADAM」もNIO独自のスーパーコンピューティングシステムになります。ちなみにADAMにはNVIDIAのDrive Orinが4枚搭載されています。
車体には「超遠距離高精度LiDAR」センサーが内蔵されています。さらに7個の800万画素カメラ、4個のソニー製300万画素サラウンドビューカメラ、5個のミリ波レーダー、12個の超音波センサー、2つの高精度測位ユニット、V2X(車路協同感知)とADMS(アドバンスド・ドライバー・モニタリング・システム)など、合計33個の高性能センサーを搭載しています。ちなみにセンシングの肝となるカメラはソニー製🇯🇵です。
よく自律走行ではLiDARの有無が議論されますが、絶対的な王者であるテスラはLiDAR不要としています。ここの差が自動運転にどのような差を生むのかは気になるところです。
NIO競合他社との比較
もちろん電気自動車(EV)最大手はテスラです。テスラが圧倒的すぎるゆえ、直接比較はできません。例えば、時価総額でみてもNIOはTESLAの数%程度です(2022年12月時点)。
そこでテスラを除く他の電気自動車(EV)メーカーに注目すると、なんと中国には電気自動車(EV)メーカーが300社以上とたくさんあります。国が「企業合併、市場の再編するぞ!」と怒るほどです。
その中でもよくNIOと比較される振興のEVメーカーが「Xpeng」,「Li Auto」です。簡単に比較してみました。NIOは2021年にXpengに抜かれてしまいましたね。
時価総額(23/9/1) | 納車台数 2022年 | 特徴 | |
NIO | $18B | 122,486台 | バッテリーリースサービス:Battery as a Service(BaaS) 優秀な自動運転AIの研究者が集まる |
Xpeng | $15B | 120,757台 | 安価で高性能なかっこいいセダンEV Lidarによる自動運転システムを最初に搭載 空も飛べる車!?(下記画像) |
Li Auto | $44B | 133,246台 | Li oneという電動SUV1種のみ生産・販売 小型ガソリンエンジン搭載EV車 |
TESLA | $817B | 1,313,851台 | 圧倒的王者 |
同じく新興電気自動車(EV)メーカーである「小鵬汽車(Xpeng Motors)」と「理想汽車(Li Auto)」は、昨年半ばに相次いで香港証券取引所へ上場し、二つの主要市場での重複上場を実現しています。ようやくNIOも香港で上場しましたので、「中国新興EVメーカー御三家」と呼ばれるNIO、小鵬汽車、理想汽車が香港証券取引所でそろい踏みすることになりました。
ちなみにこれらの新興国EVメーカーの自動運転にかかわるのは、AI半導体メーカーNVIDIAです。NVIDIA強すぎるだろ・・・。強すぎるNVIDIAについてはこちらに簡単にまとめています。
個人的にはバッテリー交換サービス含め、所有者のライフスタイルに寄り添うNIOが中国EVメーカーを引っ張っていくと思っています。
また、本社のある合肥市に世界最大規模のEV産業パーク「NeoPark」の着工にも取り掛かりましたね。将来的にはEV領域の関連企業を集め、年間100万台の生産を目指すそうです。
まとめ
中国版テスラと名高い中国の電気自動車(EV)メーカーNIO(ニーオ)の企業概要をまとめます。以前NIOは日本の個人投資家にとても人気な銘柄でした。株価は2021年1月に最高値62ドルをつけてから大きく暴落しております。2022年はインフレや金融引締の影響で、NIOだけではなくグロース株自体が厳しい上に、ADR株は米国市場から排除される懸念があったため悲惨な状況でした。米国市場から排除される懸念は払拭されたと思いますので、2023年からの挽回が期待されます!
NIOが作り上げようとしている世界は非常に魅力的なもので、「ただの電気自動車(EV)メーカーではない」そんな企業の魅力、将来性を少しでもお伝えできればなと思います。
もちろんNIOのホルダーです💪🙄(損益率-80% 2023年8月)
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