2021年12月1日に『スクエア Square』からに社名変更をしたブロック Block(https://block.xyz)について企業概要をまとめます。ブロックに構成される5つの事業に焦点を当てて解説していこうと思います。
ブロック Blockはツイッター Twitterの元CEOジャック・ドーシーのアメリカの会社です(2021年12月1日付でツイッターのCEOを退任)。二足の草鞋を履いていたジャック・ドーシーが注力することを決意したブロックに注目が集まります。
現在、株価は最高値からは大きく下落中ですが、フィンテック企業のリーダーとしてGAFAMのようなインフラポジションになりえる将来性のある企業だと個人的には思っています。
ブロック Blockの株価
コロナブーストで大きく上昇しましたが、現在は最高値からは大きく下げ、コロナブーストの上昇分を全て失ってしまいました。2023年第3四半期の決算では非常に良い結果を出したので、ここから取り戻して欲しいものです。
Fintech(フィンテック)という新しいカテゴリーではあり、今後期待される領域ではあると思いますので、今後5年後、10年後の株価が何倍、何十倍になっている可能性もあると思います。
ちなみに私もブロック Blockを保有しており、取得株価は232, 244, 266, 227, 165, 101, 76$と大損しております😭。将来性には期待しているので、今後も買い増しを続ける予定です。
ブロック Blockの基本情報
ブロック Blockがどんな会社なのか簡単に説明したいと思います。ブロック Blockは2019年の米ビジネス雑誌「Fast Comapny」で最も革新的な企業ランキングの金融カテゴリーで1位になった米金融市場の革命児です。コロナ禍のアメリカでは政府からの給付金の受け取りに使われたことで注目を集めましたね。
CEO:ジャック・ドーシー(Jack Patrick Dorsey)
米国の企業を語る上で、重要視する人が多い項目のひとつとして『CEOが誰なのか』でしょう。テスラのイーロン・マスクしかり、メタ(旧FB)のマック・ザッカーバーグしかり、CEOの理念、思想やその人物自身に惚れ投資するCEO投資なるものがあります。
ブロック BlockのCEO ジャック・ドーシーも人気度ではかなり上位に立つ人物です。みなさんご存知のTwitterの創業者で、2021年11月末までCEOでした。簡単に略歴を紹介します。
- ミズーリ工科大学(アメリカ)入学(2年で卒業)
- ニューヨーク大学(アメリカ)入学(中退)
- 2000年 オークランドでWebタクシー、救急サービスを派遣する会社を設立
- 2006年 Obvious社(現Twitter社)を設立(CEO ~2008年, 2015~2021年)
- 2009年 Square社(現Block社)を設立
- 2013年 ウォルト・ディズニー・カンパニーの社外取締役に任命(~2018年)
ジャック・ドーシーはビットコイン推進派です。変更した社名ブロック Blockも暗号通貨の基盤技術であるブロックチェーンを連想させますね。実際には、焦点や地域コミュニティが存在するブロック、コードブロック、乗り越えるべき障害といった意味も込められているだとか。
ブロックチェーンとは、分散台帳を実現する技術です。複数のシステムで情報を共有し、管理され、その取引履歴は1本の鎖のように前後の取引履歴を正確に維持するため、データの破壊、改竄が極めて困難で、システムトラブルなどの障害によって停止することはほぼありません。
ブロック Block 決算情報
決算情報は別途まとめています。
ブロック Blockの事業
ブロック Blockは『スクエア Square』『Cash App』『Spiral』『TIDAL』『TBD54566975』で構成され、売り手、個人、アーティスト、ファン、開発者、そしてその間にいるすべての人々が経済にアクセスできるようなシンプルなツールを構築することを掲げています。
それぞれの事業について詳細に解説していきます。
スクエア Square
スクエア Squareはコマースソリューション、ビジネスソフトウェア、銀行サービスの統合されたエコシステムにより、販売者のビジネスの運営と成長を支援する事業です。
前社名ということで、ブロック Block始まりの事業です。一番イメージがつくのがPOSレジでしょうか。しかしスクエア Squareは単なるPOSレジ用の機器を売る会社というわけではありません。スクエア Squareはハードウェア(リーダー)からそのPOSシステム、従業員の給料支払いなど幅広く企業を支える仕組みを提供することができます。
最近日本のYoutube広告でみることもありますね。「決済のすべてを、これ1台で」がキャッチフレーズで、シンプルさを物語っています。
POSとは、Point of Sale(販売時点情報管理)といって、販売されたモノの売上実績を単品単位で集計することを意味する。
Cash App
Cash Appは、お金と世界の関係を再定義し、より親しみやすく、即座に利用でき、誰もがアクセスできるようにすることに注力している事業です。
具体的にはアプリを通して誰でも簡単にお金を送ったり、使ったり、株やビットコインに投資したりすることができるプラットフォームを提供する事業です。
個人間送金ができるアプリであることからコロナ禍から大きな成長を遂げており、若者を中心に利用者が爆増、米国無料金融アプリでは1位になりました。日本でいうPaypayのイメージですね。Cash Appでできることは以下になります。
- 個人間でお金のやりとりがいつでもどこでも瞬時に無料でできる
- キャッシュカードはカスタマイズ可能な手数料無料のデビットカードとして作成可能
- 株式やビットコインの売買ができる
- 給与を最大2日早く受け取ることが可能
- 毎月300$以上の入金があれば、ATMでの引き出しが無料
- 少額の手数料で短期融資を利用可能
銀行口座ではないのですが、送金や決済ができ、その他機能も充実した圧倒的に便利なアプリですね。2021年9月の報告によると、年間利用者7,000万人に至りました。これは便利な機能面もありますが、SNSを使った効率的なアプリの宣伝(Cash Appでのお金ばらまきや有名人とのコラボ)、つまりマーケティング戦略がうまくいったのだと思います。さすがTwitterのジャック・ドーシーです。
ペイパル Paypal Venmoとの比較
Cash Appは個人間送金などでPaypalと競合する部分になります。どちらが米国デジタル決算の覇者となるか注目ですね。個人間送金含め便利なアプリによって銀行の立場を脅かす存在として、Paypalの「Venmo」、Squareの「Cash App」は熾烈なバトルをしています。ブロック Blockの「Cash App」が後発ですね。
月間稼働ユーザーの推移を比較してみましょう。
少し古いデータですが、Cash Appが勢いよく追い上げていますね。現時点ではアメリカではSquareの方が月間稼働ユーザーが多いですが、PapypalのVenmoはUSだけではなく、全世界に展開できているため、全世界で見るとSquare(49M)vs. Papyal(403M)とPaypalのVenmoが圧勝です。
Cash Appのようなアプリで個人間のお金のやり取りをスムーズになることで、慈善行為へのハードルが下がっているらしいですね。その分、不正や詐欺の報告も急増しているらしいですが。
Spiral
Spiral(旧Square Crypto)は、ビットコインを投資対象ではなく、全世界共通の通貨として使われることを目的にした事業です。ジャック・ドーシーが熱心なビットコイン推進派なのを体現するチームですね。
ビットコインの使用を促進する無料のオープンソースプロジェクトを構築し、資金を提供しています。
TIDAL
TIDALは、ミュージシャンとそのファンのためのグローバルなプラットフォームで、独自のコンテンツ、体験、サービスを用いて、ファンが愛するアーティストとの距離を縮め、アーティストに起業家として成功するためのツールを提供する事業です。
まず初めに思う疑問として、なぜFintech(金融テクノロジー企業)のブロック Blockが音楽事業を持っているかということですね。
ブロック Blockは2021年3月に、音楽ストリーミングサービスTIDALの過半数の株式を取得し、買収しました。そして、アーティストのJay-ZをBlockの取締役として迎えています。一見アンマッチな買収に見えますが、以下の可能性が考えられます。
- スクエア SquareやCash Appで実施してきた販売者、個人のエコシステムの構築を音楽の世界で再現する(アーティストの経済活動を支援)
- 若者利用の多いCash Appと音楽事業の親和性(広告塔としてのアーティスト確保)
- Jay-Zという新しい風をBlockに加えることで、よりイノベーションを起こせる環境作り
- 音楽ベースのNFT(非代替性トークン)のプラットフォーム構築(アーティストと消費者のコネクション)※憶測
憶測も含まれているのですが、ジャック・ドーシーならもっと先まで見ていそうですね。
個人的に楽しみなのは、大きな市場になりうるNFTをブロックチェーンと絡めてプラットフォーム化する壮大な野望です。
TIDALは2014年にノルウェーで誕生した音楽ストリーミングサービスで、2015年に世界的に最も成功したラッパーの一人Jay-Zらアーティストによって買収された企業でした。アーティストへの還元を重視していることも特徴です。
世界8000万曲以上35万本以上のミュージックビデオが利用可能です。その特徴は、他のストリーミングサービスを圧倒する(Spotifyの約5倍、Apple Musicの約7倍のビットレート)最高峰の音質を楽しめるストリーミングサービスであることです。
TBD54566975
TBD54566975は、機関を通さずにビットコインやその他のブロックチェーン技術に簡単にアクセスできるよう、オープンな開発者向けプラットフォームを構築しています。
ビットコインを取得するためには個人がConinbaseやCash Appなどの集中型サービスで法定通貨と交換する必要があり、これを解決しようとしています。世界中のどこにでも簡単に非管理ウォレットに資金を提供するプラットフォームを作成するためのオープンソース開発環境を構築して、すべてのデジタル通貨ウォレットがプラットフォームを使用できるようにしようとしています。
Spiralとの棲み分けがあまりわかっていないのですが、ビットコイン、ブロックチェーンに本気なことはわかりますね。
ブロック Blockのニュース
細かいニュースは以下に一覧にし、M&Aなど大きなニュースは個別でまとめています。
2023年
- Hindenburg Research社がBlockに対し、ショートレポートを公開。Blockはすぐさま反論し、法的措置を検討することを発表
2022年
- ブロック Blockのモバイル決済サービス「スクエア Square」に対抗して、AppleがiPhoneを決済端末化、米国で年内にサービス提供。スクエア Squareは2022年の後半にiPhoneでのTap to Payを提供する計画を発表(2022年6月)
Investor Day 2022(2022年5月)
5年ぶりに2回目のInvestor Dayを開催しました。格テーマについて和訳しましたので、Blockが創造するEcosystemの理解を深めたい方は是非ご覧ください。
2021年
- 社名をスクエア Squareからブロック Blockへ変更(2021年12月)
- NFL選手がCash Appで給与の一部をビットコインで受け取る(2021年11月)
- Cash Appの利用可能な年齢が18歳以上から13歳以上に引き下げ(2021年11月)
ブロック BlockによるAfterpayの買収(2021年8月)
ブロック Blockは2021年8月にオーストラリアのAfterpayの買収を発表しました。Afterpayは現在話題のBNPLサービスの大手です。
この買収によって「Seller」と「Cash App」のエコシステムをうまく結び付け、店舗と消費者にさらに魅力的な製品とサービスを提供すると述べらています。
BNPL(Buy Now Pay Later)は直訳で「今買って後で払う」となり、クレジットカードに変わる新しい後払い決済として欧米の若い世代を中心に世界各国で利用が伸びています。
簡単に言うと利息を払わなくて良い分割払いのローンです。
ブロック BlockによるTIDALの買収(2021年3月)
ブロック Blockは2021年3月に、音楽ストリーミングサービスTIDALの過半数の株式を取得し、買収しました。そして、アーティストのJay-ZをBlockの取締役として迎えています。一見アンマッチな買収に見えますが、以下の可能性が考えられます。
- ブロック BlockやCash Appで実施してきた販売者、個人のエコシステムの構築を音楽の世界で再現する(アーティストの経済活動を支援)
- 若者利用の多いCash Appと音楽事業の親和性(広告塔としてのアーティスト確保)
- Jay-Zという新しい風をブロック Blockに加えることで、よりイノベーションを起こせる環境作り
- 音楽ベースのNFT(非代替性トークン)のプラットフォーム構築(アーティストと消費者のコネクション)※憶測
TIDALは2014年にノルウェーで誕生した音楽ストリーミングサービスで、2015年に世界的に最も成功したラッパーの一人Jay-Zらアーティストによって買収された企業でした。アーティストへの還元を重視していることも特徴です。
世界8000万曲以上35万本以上のミュージックビデオが利用可能です。その特徴は、他のストリーミングサービスを圧倒する(Spotifyの約5倍、Apple Musicの約7倍のビットレート)最高峰の音質を楽しめるストリーミングサービスであることです。
まとめ
2021年12月1日に『スクエア Square』からに社名変更をしたブロック Block(https://block.xyz)について企業概要をまとめました。
現在、株価は最高値から大きく下落中ですが、GAFAMのようなインフラポジションになりえる将来性のある企業だと個人的には思っています。絶賛含み損中ですが、S&P500採用やGoodな決算含め、今後の大きな成長に期待しています!
コメント