メタバースにAIに深く関連し、多くの方が期待を寄せるエヌビディアの2023年第3四半期の決算速報の記事になります。2023年第2四半期は厳しい決算が露わになり、叩き売られたエヌビディアですが、最近ようやく底を抜けたような株価の推移となっております。今回の決算でさらに上向きとなるのでしょうか!?
エヌビディアの各事業内容を含め、こちらに詳しくまとめていますのでエヌビディアがどんな会社か興味ある方は是非読んでみてください。
今期の決算については、以下の企業をまとめています。興味がある企業はチェックしてみてください。
決算内容
今回の最新の決算と合わせて、これまでの推移を合わせて記載しています。
2023年度第3四半期、NVIDIAは自社株買いと現金配当で$3.75Bを株主に還元し、3四半期での還元額は$9.29B。2022年10月30日現在、2023年12月までの自社株買い権限の残りは$8.28B
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンセン・フアンから以下コメントがありました。
- 我々は、マクロ環境に迅速に適応し、在庫レベルを修正し、新製品への道を切り開いています。
- Ada Lovelace RTXグラフィックス、Hopper AIコンピューティング、BlueFieldとQuantumネットワーキング、自律走行車とロボティクス向けのOrin、Omniverseといった新しいプラットフォームの立ち上がりは素晴らしいスタートを切り、次の成長段階への基盤を形成しています。
- NVIDIAのアクセラレーション・コンピューティングにおける先駆的な取り組みは、これまで以上に不可欠なものとなっています。物理学的な制限により、汎用コンピューティングは、AI がより多くのコンピューティングを要求するのと同じように、遅々として進みません。加速コンピューティングによって、企業はコストと環境を節約しながら、生産性の桁外れの向上を達成することができます。
2023年 3Q エヌビディア 売上高
結果:$5.9B(前年同期比-17%) アナリスト予想:$5.8B Clear!
売上はアナリスト予想をなんとか上回りました。しかし、成長率は著しく減速しており、半導体が厳しい状況にあることがわかります。
2023年 3Q エヌビディア EPS
結果:0.58$(前年同期比-50%) アナリスト予想:0.69$ MISS!
EPSはアナリスト予想を下回りました😭。利益的にも厳しい状況がわかります。
各セグメントの売上推移と成長率
Data Center、Automotiveは前年同期比、前期比でプラス成長をしましたが、Professional Visualization、Gaming事業が大きなマイナス成長とかなり厳しい状況です。いずれ1B事業となると言われているAutomotiveは順調に成長しております。
単位はMillion $ | 2023 3Q | 2022 3Q | 成長率(前年同期比) |
Gaming | 1,574 | 3,221 | -51% |
Data Center | 3,833 | 2,936 | +31% |
Professional Visualization | 200 | 577 | -65% |
Automotive | 251 | 135 | +86% |
Gaming事業
- 2023年第3四半期の収益は$1.57Bで、前年同期比-51%、前四半期比-23%
- ゲーマーやクリエイター向けの初のAda LovelaceアーキテクチャのGPUであるGeForce RTX™ 4090を発売し、各地ですぐに完売。本日よりRTX 4080の販売を開始
- NVIDIA RTX™ニューラルレンダリングの新時代を担うAI搭載のパフォーマンスマルチプライヤー、NVIDIA DLSS 3を発表。240以上のDLSSゲームとアプリケーションが利用可能になり、Marvel’s Spider-Man Remastered、Cyberpunk 2077、Microsoft Flight Simulatorなど35がDLSS 3への対応を発表
- 37の新しいRTXゲームとアプリケーションを出荷し、利用可能なゲームとアプリケーションの合計は360以上
- GeForce NOW™ライブラリに85以上のゲームを追加し、利用可能なゲームの合計を1,400以上に拡大
Data Center事業
- 2023年第2四半期の売上高は$3.83Bで、前年同期比+31%、前四半期比+1%
- 新しいNVIDIA Hopper™アーキテクチャに基づくNVIDIA® H100 Tensor Core GPUの出荷を開始し、最初のシステムの提供を開始
- スーパーコンピューティング・カンファレンスSC22において、NVIDIA H100およびQuantum-2システムが広く採用されていること、NVIDIA Omniverse™が科学計算可視化ソフトウェアをリードしていること、そして、世界最速スーパーコンピュータの最新TOP500リストにおいて、H100搭載システムが最も効率の良いシステムとしてGreen500リストのトップになった米国のFlatiron Instituteに導入されているなど、新しいシステムの90%がNVIDIA製であることを発表
- Microsoftとの複数年にわたる協業を発表し、数万台のA100およびH100 GPUを配備。Microsoft Azureを通じて、企業が最先端のモデルを含むAIの訓練、配備、拡張を行えるよう支援
- オラクルとの複数年パートナーシップを発表し、A100およびH100アクセラレータを含む数万以上のNVIDIA GPUを導入しているOracle Cloud InfrastructureにNVIDIAのフルアクセラレーション・コンピューティング・スタックを導入することを発表
- Nuance Communicationsとの提携を発表し、臨床放射線技師にAIベースの診断ツールを提供
- Rescale社がNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアを同社のHPC-as-a-serviceサービスに統合することを発表
- NVIDIA NeMo™ LLMとNVIDIA BioNeMo™ LLMという2つの新しい大規模言語モデルクラウドAIサービスを発表し、開発者がLLMを簡単に適応させて、コンテンツ生成、テキスト要約、タンパク質構造および生体分子特性予測などのためにカスタマイズしたAIアプリケーションを配備
- NVIDIA H100 Tensor Core GPUが、MLPerf AIベンチマークに初登場し、すべてのワークロードにおいてAI推論とAIトレーニングの両方で記録を樹立したことを発表
- Ada Lovelace GPUアーキテクチャと強化されたネットワーク技術を搭載し、画期的なリアルタイムグラフィックス、AI、デジタルツインシミュレーション機能で3D世界の創造を可能にする第2世代のNVIDIA OVX™を発表
- Dell PowerEdgeサーバーとNVIDIA BlueField® DPU、NVIDIA GPU、NVIDIA AI Enterpriseソフトウェアを組み合わせ、VMware vSphere 8に最適化したゼロトラストセキュリティを提供する新しいデータセンターソリューションを発表
Professional Visualization事業
- 2023年第2四半期の売上高は$200Mで、前年同期比-65%、前四半期比-60%
- アーティスト、開発者、企業チームがメタバースアプリケーションにアクセスするための包括的なクラウドサービス群を備えた、当社初のSaaS型およびインフラストラクチャ型のNVIDIA Omniverse™ Cloudを発表
Automotive事業
- 2023年第2四半期の売上高は$251M、前年同期比+86%、前四半期比+14%
- 安全・安心な自律走行車のための2,000 TFLOPSの次世代集中型コンピュータ、NVIDIA DRIVE Thor™を発表し、Geely傘下のZEEKRが2025年に電気自動車に統合
- NVIDIA DRIVE OrinおよびXavier™を搭載した電気自動車Volvo EX90と、NVIDIA DRIVE™プラットフォームを採用したブランド初のSUV、Polestar 3の発売
- Hozon AutoのNetaブランドは、NVIDIA DRIVE Orin™プラットフォームで将来の電気自動車を製造し、自動運転とインテリジェント機能を実現することを発表
- DRIVE IXエコシステムパートナーとして、同社のオープンAIコックピットソフトウェアスタックをベースに、自動車向けのインタラクティブな機能を提供する企業を新たに発表
- エントリーレベルのエッジAIおよびロボティクス向けに、前世代の最大80倍のパフォーマンスを実現するJetson Orin Nano™システムオンモジュールを発表
2023 4Qのガイダンス
2023 4Q売上予想 結果:$6.0±2%B アナリスト予想:$6.09B MISS!
来期の2023年4Qのガイダンスは市場予想を下回りました。半導体銘柄は今期からかなり厳しい状況となりそうです。
- 2023年 4Q 売上高:$6.0B ± 2%
- GAAPベースの粗利益率は63.2%、非GAAPベースの粗利益率は66.0%(±0.5%)となる見込み
- 営業費用は、GAAP方式及びNon-GAAP方式ともに、それぞれ約$2.56B及び$1.78Bとなる見込み
- GAAP基準および非GAAP基準のその他収益・費用は、非関連会社投 資の損益を除き、約$40Mの費用となる見込み
- GAAP方式およびNon-GAAP方式の税率は、個別項目を除いて9.0%(±1%)となる見込み
カンファレンスコールの内容
カンファレスコールの内容で上記に記載のない重要なポイントを簡潔にまとめていきます。
- CPU、GPU、DPUを統合したソリューション(Grace)は第1四半期に生産サンプルを用意する予定。Graceのデータムービング能力は桁外れ。また、GraceはGPUとメモリコヒーレントなので、GPUの実効GPUメモリ、高速GPUメモリを1/10に拡張することが可能。AIのトレーニングや機械学習にも非常に有効
- NVIDIA と Microsoft が、世界最大級の AI インフラを構築中。このインフラは、NVIDIAのInfiniBand 400 gigabits per secondネットワークによって完全に支えられている。インフラに投入する投資は非常に大きいので、遅いネットワークに引きずられると、明らかにインフラ全体の効率は悪くなる。そのため私たちが注力している分野では、ネットワークが非常に重要で需要は引き続きある。
- NVIDIAは、セミカスタム・スーパーコンピュータを大量に生産し、出荷している世界で唯一の企業。3年に1台のスパコンを出荷するのは奇跡的なこと。第1四半期にはHopperのクラウド・サービスを立ち上げる予定。そのため、第4四半期にある程度の数量を出荷し、第1四半期に大量に出荷する予定
- Ada(卓越したゲーミングと制作、プロフェッショナル グラフィックス、AI、コンピューティング性能を実現するために設計したアーキテクチャ)が今目指しているのは、明らかに市場の上層部、つまりトップハーフ。Adaの発売はホームランだった。4090を大量に出荷したが、数分後には世界中で完売。4090の売れ行きも、今日の4080の売れ行きも、桁外れ。これは、ゲーム市場の強さ、健全さ、活気を物語っている
まとめ
半導体メーカーから『Computing Platform Company』 に変貌を遂げたNVIDIA($NVDA)の2023年第3四半期の決算速報を記事にしました。技術という面ではテクノロジーの発展に大きく寄与する素晴らしい企業なので、私のポートフォリオのエースとしてしっかりとホールドしておきます🙄
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