中国版TESLAと名高い中国のEVメーカーNIOの決算速報になります。NIOは以前は日本の個人投資家にとても人気な銘柄でしたが、最近はあまり話題上がりませんね。ですが、まだまだNIOの決算には多くの方が注目していると思いますので決算の速報記事を作成しました。
決算情報と合わせてにNIOの企業概要もまとめますので、NIOについて知りたいという方にも参考になると思います。
私は現在、投資歴2年目で約1,000万円を運用しています。運用益は380万円ほどです(投資実績はこちらから)。私自身もNIOをポートフォリオ全体の6%ほど保有しています。損益率は-14%ですが、EVメーカーの中ではかなり期待している銘柄になります。
NIOってどんな会社?
基本情報
NIOは中国版TESLAといわれる中国のEV(電気自動車)メーカーです。中国語で蔚来は「青空がやってきた」という意味で、NIOが送り出すクリーンな電気自動車で深刻な大気汚染の問題を解消することをミッションとしています。一般大衆向けというよりはハイブランド(高級車)路線です。中国ではもちろんのこと、最近ノルウェー(欧州)で販売開始しました。
電気自動車以外にも、「NIO house」といったNIOの自動車の所有者同士のコミュニケーションの場があったり、NIOのアプリにはSNS機能やEコマース機能があったり、NIOの雑貨があったり、ただのEVメーカーではなく所有者の快適なライフスタイルを提供する企業です。
NIOの電気自動車を買うことで快適なライフスタイルまでついてくるなんてお得ですね!日本に来るのが楽しみですね!(当分先でしょうけど)
NIOのEVの特徴
電気自動車の圧倒的覇者TESLAと1番の違いはバッテリーが充電式ではなく交換式であることでしょう。充電式の電気自動車の弱点は「充電に時間がかかる」や「バッテリーの劣化」が挙げられます。交換式にすることで上記の弱点は克服ですね。もちろん、他のEVと同様に充電することも可能です。
- Power Swap(画像中央):全自動バッテリー交換所(3分で交換)604箇所(※2021年11月時点)
- Power Charger(画像左):充電所(30分で20~80%充電)458箇所(※2021年11月時点)
- Power Mobile(画像右):NIOアプリで呼べる移動充電車
- Power Home:自宅用充電(5時間、14時間の2タイプあり)
バッテリー交換をイメージしたい方は下の動画をご覧ください。
バッテリースワップができる電気自動車はAulton、Geelyがありますが、現状はNIOが先駆者ですね。NIOは2025年に世界で4,000のステーションをオープンする予定との発表がありました。
NIOの強み
NIOの強みはいろいろありますが、なんといっても国策企業であることでしょうか。強みをまとめますと以下のようになります。
- ガソリン車の新車販売禁止といった国策という国の後ろ盾がある(国からの支援あり)
- 上記と関連し、中国のEV普及率のスピードが速く、中国だけでも大きな市場
- 合肥市政府からの支援、市と協働し事業拡大(NIO本社の移転、新工場建設などへの投資)
- 自動運転技術への投資として、世界有数の自動運転AIの研究者が在籍
- バッテリー交換(Power Swap)は1,400以上の特許による独自性の高い技術
- ただのEVメーカーではなく、ライフスタイルに寄り添う高級ブランド
- バッテリーサブスクという車両本体とバッテリーを切り離した新しいサービス(BaaS)
個人的に不安な点を挙げるとしたら、NIOが会社から車両生産を切り離していることです。パートナー会社(江淮汽車、長安汽車)に車両生産を請け負ってもらっています。国有のメーカーなので安心ですが、開発・生産の一貫性という意味では少し不安な部分です。
たくさんありますね。もちろん国や地方からの支援という強みもありますが、独自のブランド、サービスという点で他のメーカーと差別化がうまくできていると思います。
競合他社との比較
もちろんEV最大手はTESLAです(下記の記事でTESLAの概要も触れています)。TESLAが圧倒的すぎるゆえ、直接TESLAとは比較できません。例えば、時価総額でみてもNIOはTESLAの6%程度です(NIO 71B$ vs TESLA 1,170B$)。
そこでTESLAを除く他のEVメーカーに注目すると、なんと中国にはEVメーカーが300社以上とたくさんあります。国が「企業合併、市場の再編するぞ!」と怒るほどです。
その中でもよくNIOと比較される振興のEVメーカーが「Xpeng」,「Li Auto」です。簡単に比較してみました。
時価総額(21/11/9) | 納車台数 2021 3Q | 特徴 | |
NIO | 71B$ | 24,439台 | バッテリーリースサービス:Battery as a Service(BaaS) 優秀な自動運転AIの研究者が集まる |
Xpeng | 40B$ | 25,666台 | 安価で高性能なかっこいいセダンEV Lidarによる自動運転システムを最初に搭載 空も飛べる車!?(下記画像) |
Li Auto | 32B$ | 13,378台 | Li oneという電動SUV1種のみ生産・販売 小型ガソリンエンジン搭載EV車 |
TESLA | 1.17T$ | 241,300台 | 圧倒的王者 |
ちなみにこれらの新興国EVメーカーの自動運転にかかわるのは、AI半導体メーカーNVIDIAです。NVIDIA強すぎるだろ・・・。強すぎるNVIDIAについてはこちらに簡単にまとめています。
個人的にはバッテリー交換サービス含め、所有者のライフスタイルに寄り添うNIOが中国EVメーカーを引っ張っていくと思っています。
また、本社のある合肥市に世界最大規模のEV産業パーク「NeoPark」の着工にも取り掛かりましたね。将来的にはEV領域の関連企業を集め、年間100万台の生産を目指すそうです。
決算内容
今回の決算と合わせて、これまでの決算内容もみてみましょう。
売上高
結果:1.52B$(前年同期比+120%) アナリスト予想:1.46B$ CLEAR!
売上は見事に予想を上まりました。成長率も前年同期比+120%は良い数字ではないでしょうか。このまま成長速度を維持して欲しいものです。
EPS
結果:-0.06$(前年同期比+60%) アナリスト予想:-0.09$ CLEAR!
EPSも予想を上回りました。黒字化した時にNIOの真の株価に到達してくれるでしょう。前期と比べると利益が減っていることが少し気になるでしょうか。
KPI:納車台数
四半期ごとの納車台数はしっかり伸びていることが確認できます。半導体不足はどこにいったのか!?
月の納車台数を見ると、10月に大きく減産していることがわかりますが、これは生産ラインの改修を行なっていたことにより、10日間しか工場を稼働させられなかった影響です。なので、問題はないと考えています。実際に市場が開く前はニュースを見て慌てて売った人々により大きく下がりましたが、市場が開いた後はプラスに転じました。
2021 4Qのガイダンス
結果:1.46~1.57B$ アナリスト予想:1.74B$ MISS!
ガイダンスをミスりましたね。市場のあまりよくない反応はこのガイダンスだと思われます。NIOのようなグロース株には成長を期待していますからね。カンファレスコールの内容も追記しましたのでご確認ください。
- 納車台数:23,500~25,500台(前年同期比+35.4% ~ +46.9%、前期比-3.8% ~ +4.3%)
- 売上:1.46~1.57 B$(前年同期比+41.2% ~ +52.2%、前期比-4.4% ~ +3.1%)
カンファレスコールの内容は下記になります。
- 合肥市のNIOパークも順調に進捗しており、2022年の第3四半期には、正式に生産を開始する予定。現在の工場と新しくできる工場の2つで短期的な需要に対応していく(2つの工場で年間60万台の生産能力を確保)。
- 供給面では、コロナ禍でサプライチェーン全体が厳しい中、NIOのサプライチェーンのチームはうまく乗り切った。引き続き供給を確保して生産していく。
- NIO車の所有者のコミュニティ「NIOハウス」「NIOスペース」は中国の132都市に展開されている。今後も拡大し、ユーザーに高品質なサービスを提供していく。
- バッテリーサブスクである「Batter as a Service」がもたらす優れたユーザー体験が価値となり、多くのユーザーに選ばれている。
- ノルウェーでの販売も好調で、注文数は予想を上回るものだった。重要なことは、92%のユーザーがNIO車を選んでくれており、NIOのビジネスモデルが中国ではなく全世界的に認められるものだと考えている。
- 2022年にはノルウェー以外にもヨーロッパの5カ国に進出する予定。将来的には海外比率50%であるべきと考えるが、引き続き中国が重要な市場。
- 2021/12/18に蘇州で「NIO DAY 2021」を開催する。
いいカンファレスコールの内容だったと思います。今回のラインのアップグレードでは爆発的に生産台数が増やせるわけではなさそうなので、今後の納車台数の推移には注目しておきたいところです。
まとめ
中国版TESLAと名高い中国のEVメーカーNIOの決算をまとめました。NIOは以前は日本の個人投資家にとても人気な銘柄でしたが、最近はあまり話題上がらず少し寂しいですね。今回の決算でまたは多くの方が注目してくれると嬉しいです!ついでに株価も爆上げを期待します。
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